Nicca TYPE-4の修理 その2

昨日の続き、Nicca TYPE-4の修理である。

シャッター幕は、竿から剥がす前に縦幅と横幅を計ってメモしておく。
剥がした後に竿に接着剤や糸くずが付いているのでこれらも綺麗に剥がしておく。

シャッター幕の状態であるが、シャッター幕そのものは先幕、後幕共にボロボロだったが、シャッターリボンも後幕の下のシャッターリボンが切れていた。
よって、シャッターリボンも交換する。
切れたシャッターリボンは長さを測ってメモしておく。
シャッターリボンやシャッター幕はインターネットに通販で専用のものを購入したのだが、ちょっと大きめのカメラショップならこうしたリペア用品が売っているところもある。
シャッターリボンは元のシャッターリボンより1cm程長く切っておく。
シャッターリボンの竿に付ける側に両面テープを付けて、竿に折り込むように取り付ける。


今度はドラム側に付けるのだが、先ずはドラムに通すために厚紙をリボンの先端にセロハンテープで付けておく。

この厚紙をあらかじめ少し曲げておいて、ドラムの隙間に厚紙を通していく。

こうして厚紙と共にシャッターリボンをドラムの間に通してやる。
シャッターリボンが通ったら、ドラムに巻き付ける側にも両面テープを付け、上のシャッターリボンと同じ長さになるように、ドラムを巻き取ったときに竿が垂直になるように調整しながら、ドラムに取り付ける。


これでリボンの取り付けは完了である。

因みに、シャッターリボンやシャッター幕の取り付けに両面テープを使用している理由は、

・簡単に作業ができる。
・次にメンテナンスするときに作業しやすい。
・両面テープの粘着強度を超える力はかからないし、もし粘着強度を超える力がかかるようなら両面テープが剥がれる前に竿が曲がったり、テンションのスプリングが切れたりする。

と言った理由からである。

次にシャッター幕である。
先幕と後幕のシャッター幕を切り出す。

後幕は縦幅は以前メモしておいた幅に、横幅はなるべく長めに切り出しておく。
後幕の横幅は、元のシャッター幕の横幅の長さでなくても良く、できれば長くしておいた方が作業がしやすい。
先幕は縦幅は以前メモしておいた幅に、横幅は以前メモしておいた長さより1cm程長く切り出しておく。
切り出したシャッター幕の端にシャッター幕と垂直になるように両面テープを貼っておく。

先ずは後幕から。
竿に垂直になるように両面テープを付けた面の奥側にを竿に貼り付ける。

貼り付けたら、其のまま竿の端を軸に内側に折り曲げて竿に取り付ける。

反対側はシャッターリボンと同じ要領で厚紙を取り付け、テンションドラムの間を通す。


通し終わったら、後幕をシャッターチャージした位置にセロハンテープで固定し、ドラムに巻き付ける分を残して、後幕を切り落とす。
ドラムに巻き付ける部分に両面テープを貼り付けて、テンションドラムに取り付ける。

次に先幕だが、その前に後幕のテンションをある程度上げて後幕がテンションドラムに巻き付くようにしておいた方が作業がしやすい。
先幕も、後幕同様に竿に取り付ける。


反対側も後幕と同じ要領で厚紙を取り付け、メインドラムの間を通す。


シャッターをほんの少し巻き上げて、後幕の竿の位置と先幕の竿が少し重なるように位置を調整しながら、両面テープでメインドラムに取り付ける。
此處の調整が一番大事で、巻き上げ時は完全に遮光されていなければならず、シャッターボタンを押したときにはシャッターが開いていなければならない。
メインドラムへの取り付けが失敗したときには、再度はがしてメインドラムに取り付けよう。
此處は、両面テープの利点が生かせる。
両面テープなら剥がすのは簡単だし、再度取り付ける際には新しい両面テープを用意してやればよい。
うまくできれば、巻き上げ時には完全に遮光がされている。

次にシャッター調整である。
シャッター調整する前にシャッターの動作に関わるギアに注油していく。
注油部分はシャッタースピードの調整機構、

シャッターチャージのストッパー、

スローガバナーである。

その他に、シャッターの巻き上げ時に動作するギアにも注油しておくと良い。
注油は、シリンジを使用してほんの少ししみこませる程度にしておく。
特にスローガバナーは、注油しすぎるとかえって動作が慝くなる。
くれぐれも1滴垂らすような事はしないように。
注油は1滴では余りにも多すぎだ。
その後、先幕と後幕のテンションを上げてシャッター調整をする。
シャッター調整の目安は、

・最高速度のシャッタースピードでシャッター幕が開いていること。
・最低速度のシャッタースピードでシャッターがちゃんと動作していること。

この2つを目安にすると良い。
また、テンションはなるべく弱いテンションで上の2つの条件が満たされることを目標とする。
テンションが強すぎると、シャッターの破損の原因となるので注意する。
この時代のカメラのシャッタースピードは、現在の電子式のシャッタースピードのような正確さを求めてもムダなので、上記の2つが満たされていれば問題ない。
最後に全てのシャッタースピードを試して問題がなければ良しとする。

次にファインダの清掃である。
ファインダの清掃は、早い話、曇ったガラスを磨くことである。
先ずは、清掃できるようにファインダを分解。

分解したら、カメラのレンズクリーナを綿棒に含ませてガラス部分を力を入れずに軽く拭き取っていく。

レンズクリーナは、アルコール系はではなく水性の界面活性剤のものを使用する。
古いカメラは塗装や接着剤がアルコールで溶ける物が有るためである。
清掃が終わったら、ファインダを組み立てて、ボディに取り付ける。

此處まで終わったら、後はひたすら元の形に組み上げるだけである。
但し、組み上げ途中で都度都度シャッターを動かしてきちんと動作することを確かめること。
組み上げ方がまずくて、シャッターが動作しないことがあるからだ。
これで、修理は完了である。

後は、レンジファインダの調整をするが、其れはまた次の機会に。

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください